お口のためにケアしたい歯石取りの特徴と治療に必要な通院回数

大阪府枚方市にある【宮園歯科医院】では、歯石除去をはじめとした歯の健康管理やインプラント治療に力を入れています。

歯石は、歯垢（プラーク）が唾液中の成分と結合して石灰化した沈着物です。虫歯や歯周病の原因となる細菌が付着しやすいため、放置すると口内環境の悪化を招きます。

歯石は歯垢が硬化して徐々に増え、歯の縁や歯ぐきの中にまで入り込みます。放置すると自然には取れないため、定期的な除去が欠かせません。

この記事では、歯石の特徴や発生のメカニズムを中心に紹介します。

 

歯石とは？

 

歯石とは、歯の表面に付着する「歯垢（プラーク）」が、唾液の中に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分によって石灰化して硬まった沈着物です。

柔らかい歯垢が硬くなったもののため、通常の歯磨きでは除去が困難です。そのため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要になります。

発生するメカニズム

口の中には糖質などを餌とする細菌が常在しており、食べかすや糖質などが口内に残ると細菌が増殖し、歯の表面に粘ついた物質を作り出します。

この粘つきから、細菌の塊である歯垢が生成される仕組みです。

歯垢は柔らかい物質のため、歯磨きによって簡単に取り除くことができます。しかし、歯垢を放置すると、唾液中のカルシウムやリン酸が付着して徐々に硬化し、数日から数週間で歯石へと変化します。

歯垢を放置すると、唾液に含まれるカルシウムやリン酸などの成分が沈着し、数日から数週間で石灰化します。歯磨きの磨き残しも、歯石の形成を早める要因です。

唾液の流れが多い前歯の裏側や奥歯の外側は歯石が形成されやすいため、定期的に口の中をチェックすることが大切です。

種類

歯石は「歯肉縁上歯石（しにくえんじょうしせき）」と「歯肉縁下歯石（しにくえんかしせき）」に分けられます。

歯肉縁上歯石は、歯と歯ぐきの間、外から見える部分に形成される歯石で、比較的柔らかく取り除きやすい特徴があります。唾液の影響を受けやすい部分に形成される歯石です。

一方で、歯肉縁下歯石は歯ぐきの内側や歯周ポケットに形成され、黒褐色で非常に硬い性質を持ちます。

目視では確認しづらく、除去が難しいため、歯周病を悪化させる要因となります。専門医によるチェックやスケーリングが必要な歯石です。

放置するリスク

歯石を放置していると、歯石の上に新たな歯垢が付着し、細菌の塊が大きくなっていきます。歯ぐきは細菌の攻撃により炎症を起こし、歯肉炎・歯周炎・歯周病へと発展します。

歯周病を放置していると歯を支える骨が溶けてしまい、歯の動揺（ぐらつき）や脱落を引き起こすおそれもあります。

細菌が口の中に存在し続けることは、口内環境を大きく低下させ、健康被害をもたらすリスクがあるのです。

 

歯石取りに必要な回数と頻度

 

歯石取り（スケーリング）は、歯石の量や硬さ、歯ぐきの状態によって、必要な回数や通院頻度が変わります。

何回も必要な理由

軽度の歯石は1回で取り除けますが、歯石の範囲が広い、深いところまで入り込んでいるようなケースでは、歯ぐきなどの歯周組織を傷つけないように慎重に治療を進める必要があります。

1回では除去しきれない場合もあるため、複数回の通院が必要になります。

炎症が激しい方は1回目の治療で歯石を取り除いた後も継続的にケアを行う必要があるため、複数回に分けて治療を行うのが一般的です。

すでに歯周病が発生・進行している場合は、スケーリングに加え、歯根の表面を滑らかに整える“ルートプレーニング”という清掃処置が必要です。

この清掃も1回だけでは完了できない治療のため、数回に分けて治療しなければなりません。

頻度の目安

健康な歯ぐきの方は3〜6か月に1回が目安です。歯石が付きやすい方は、1〜3か月ごとのチェックを推奨します。

喫煙者や矯正装置・リテーナーを装着している方は、歯科医師からのアドバイスで1〜3ヶ月に1回の通院が推奨されることもあります。

歯石は歯垢の発生と放置によって生成されるため、予防には定期的な歯科健診が不可欠です。

歯石取りの方法

歯石取りの方法には、SC（スケーリング）とSRP（スケーリング＆ルートプレーニング）の2種類があります。それぞれどのような治療方法なのでしょうか。

SC（スケーリング）

SC（スケーリング）は、歯の表面に付着した歯石や歯垢、着色汚れを除去する処置です。

スケーラーと呼ばれる器具で歯石を粉砕・掻き出しし、細部まできれいに仕上げます。超音波スケーラーは、水による冷却と洗浄を同時に行えます。

通常の浅い歯垢であれば、麻酔を使わずそのままスケーリングを実施しますが、施術中に痛みや出血、知覚過敏が発生することもあるため、患者さんのお口の中に合わせて処置を行います。

処置が終わると、歯面の研磨やフッ素を塗布して表面を滑らかにします。歯を滑らかに整えると、プラークが再付着しづらくなり、美しい状態が持続します。

SRP（スケーリングルートプレーニング）

SRP（スケーリング＆ルートプレーニング）は、歯周病治療の一環として行われる清掃治療です。

歯周ポケットが深くなっている場合、奥まで歯石が入り込んでいることがあります。

そのまま治療を行うと激しい痛みや出血があるため、局所麻酔によって痛みを感じない状態にしてから、歯周ポケット内に付着した歯石や汚染された歯周組織を取り除きます。

歯根部分は非常に狭く奥まっている箇所のため、清掃と洗浄を同時に行える超音波スケーラーを使います。また、手用の治療器具も必要に応じて併用し、歯面を滑らかに仕上げて細菌の再付着を防ぎます。

歯垢や歯石を取り除いていくと歯周ポケットの深さが改善するため、複数回に分けて歯肉の状態を確認しながら治療を進めるのが一般的です。

治療後は一時的に知覚過敏や歯肉退縮が発生することがありますが、組織が安定してくると改善します。歯周ポケットが深く、SRPによって重度の歯肉退縮が発生するような場合には手術や抗菌治療を併用する可能性もありますが、医師とよく話し合って治療方針や治療内容を決定しましょう。

歯石の発生を予防する方法

歯石の予防には、正しい歯磨きとフロス・歯間ブラシを使用しましょう。ものをしっかり噛んで唾液を出すことや洗口液の活用も効果的です。

毎日の正しい歯磨きを徹底する

歯石は歯垢が硬くなることで生成される物質です。歯磨きは1日に複数回欠かさずに行い、柔らかい歯垢の状態できれいに取り去るようにしましょう。

歯の大きさや状態に合った歯ブラシを選び、45度の角度をつけて小刻みに動かしながら、歯や歯ぐきを傷つけないようにブラッシングをします。特に甘い物を食べたり飲んだりした直後や就寝前にはうがいをまず行い、飲食後から時間をおかずにブラッシングを行ってください。

デンタルフロスや歯間ブラシを使用する

歯ブラシは歯の表面を磨くために適していますが、歯と歯の間や歯ぐきのすき間に入りづらいため、歯石の予防にはデンタルフロスや歯間ブラシの併用が効果的です。

デンタルフロスは歯と歯が接触する部分に適しているため、歯ブラシや歯間ブラシが入りづらい部分に向いています。歯間ブラシは歯と歯の間、すき間が空いている部分に適しています。

どちらも歯垢の除去に役立つアイテムですが、歯のサイズやすき間の程度に合わないものは痛みや出血を引き起こすこともあります。いくつかのアイテムを試してみて、お口の中に合うものを選ぶと良いでしょう。

フッ素入り歯磨き粉や洗口液を活用する

フッ素はミネラルの一種で、虫歯菌が出す酸によって歯が脱灰（だっかい）しないように抑制したり、歯の再石灰化を促したりする虫歯予防効果が期待できます。

このフッ素が含まれる歯磨き粉を使用することで、歯を強くして細菌の活動を抑制することができます。フッ素入りの歯磨き粉や洗口液を使うことで、唾液が少ない方や、夜間でも口腔環境を清潔に保てます。

よく噛んで唾液の分泌を促す

唾液は、お口の中をきれいに洗い流して食べかすが残らないようにしたり、酸を中和したりする作用があります。

食事の際にしっかり噛むと唾液の分泌が促されます。噛まずに飲み込む癖がある場合は、普段より多く噛むことを意識しましょう。

しっかり噛める食材を選ぶことも、唾液の分泌を増やす効果があります。繊維質の多い野菜、硬めの食材を取り入れたり、間食にガムを噛んだりすることで、虫歯予防や歯石の付着抑制につながります。

禁煙して口腔環境を整える

歯石予防のためには、禁煙が非常に有効な手段です。歯石の予防には、まずは1本でも本数を減らすところから始めましょう。

喫煙は、ニコチンやタールといった成分が唾液の分泌を抑え、お口の中の自浄作用を低下させてしまいます。歯石の付着に加え、血流の悪化によって歯ぐきの免疫力が低下し、歯周病のリスクを高めます。

定期的に歯科医院でクリーニングを受ける

自宅でのブラッシングやフロスはお口の健康維持に欠かせませんが、細かい部分までケアが行き届かない場合もあります。

そのため、定期的なクリーニングを習慣づけることで、健康な口腔環境を維持できます。

歯科医師や歯科衛生士によるクリーニングでは、専用の器具やカメラを使って歯の奥までチェックし、汚れを取り除きます。

専門的なアドバイスも受けられるため、お口の健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。

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歯石取りの回数はお口の状態によって異なる

今回は、歯石の特徴と発生する仕組み、予防方法について紹介しました。

歯石は一度できてしまうと、歯ブラシでは取り除くことができません。

定期的なスケーリングで除去し、歯周炎や歯周病を予防しましょう。

スケーリングの回数はお口の中の状態によるため、日常的なセルフケアを欠かさないように意識しましょう。

健康な歯と歯ぐきを保つことは、全身の健康維持にもつながります。

日常的なケアと定期検診を習慣化することで、歯石の再発を防ぎ、健康な口内環境を長く保てます。